まじめえひめ

伊予水引

えひめのまじめ図鑑

伊予水引

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File 23

伊予水引

気持ちを伝える匠の技で
人生の結び目はギュッと!

#名産品 #産業技術 #伝統工芸
伊予水引

髪を結う紐から始まった!?
江戸時代から伝わる水引文化

今や日本一の紙の産地として知られる四国中央市。
紙の原料である三椏(みつまた)や楮(こうぞ)が採れる山があり、吉野川水系の豊かな水に恵まれたこの地では、手漉き和紙が発展しました。その紙をこより状にして、江戸時代に髪を結うための紐「元結(もとゆい)」をつくりはじめたのが伊予水引の発祥なのだそう。
しかし、明治時代に発令された断髪令により、元結は必要とされなくなってしまいます。
水引は生き残りをかけ、第二形態へと進化!それが金封です。
戦時中に軍人さんが出兵する際、お金を入れた包みに水引をあしらったものが最初で、その歴史は現在の四国中央市から始まったと言われています。

伊予水引

伊予水引金封協同組合の石川達也理事長(右)と、水引みきゃんの生みの親である星川豊光商店の星川弘子さん(左)

金封は、冠婚葬祭、結納の文化の成長とともに最盛期を迎えることに…。
そんな伊予水引の100年の歴史を紐解くべく、伊予水引金封協同組合の理事長を務める石川達也さんにお話をうかがいました。
「四国中央市の伊予水引は、長野県の飯田の水引と並び、日本二大産地と言われています。結納の飾りの製作で大きく発展し、昭和末期頃までは豪華絢爛な飾りも手がけていました」と石川さん。しかし、2005年頃をピークとして生産は右肩下がりに。この状況を危惧した組合では、次の展開として美術工芸品、アクセサリーなどの加工品の製作にも取り組み始めるなど、時代に合わせて進化を続けていったのです。

伊予水引

結婚祝いの祝儀袋には、縁起物の鶴や亀、松竹梅をあしらった水引で。贈る人へのお祝いの気持ちを表現します

内職から伝統工芸士に
技術を守るお母ちゃんたち

日本人の生活スタイルの変化に柔軟に対応してきた水引ですが、伝統工芸としての根っこは変わることはありません。
職人さんは基本の結び方を応用して、鶴や亀、松竹梅などをかたどった結びを巧みに結いあげていきます。四国中央市で水引飾り・金封、結納儀式の用品などを手がける「星川豊光商店」の星川弘子さんも、伊予水引の伝統工芸士の一人。
この道40年の弘子さんは、夫・住夫さんの元へ嫁いだことを機に水引の内職を始めました。
「水引の仕事は、子育てをしながら内職として技術を身につけていく女性が多いのが特徴かも」と弘子さん。今回お邪魔した「星川豊光商店」でも、ベテランの女性職人さんたちが大活躍していました。

伊予水引

弘子さんが製作した水引みきゃんたち!2017年のえひめ国体でも活躍しました

一人ではできないことも
みんなでやれば大きな力に!

全国的に厳しい時代を迎えている、伝統工芸の継承。それは伊予水引も例外ではなく、後継者不足が問題となっています。
「伝統技術だけでも残していかなければという動きになり、各社の伝統工芸士の技術を結集する機会を持つことにしたんです」と石川さん。その契機となったのが、2018年に愛媛東部で開催されたものづくりの祭典「えひめさんさん物語」。互いの技術を共有し、発揮しあって作品づくりに挑むことで横の繋がりが生まれました。
また、弘子さんは自身の技術を生かし水引の立体作品にも取り組む中で、愛媛県のイメージアップキャラクターである「みきゃん」を製作。以来、さまざまな「ゆるキャラ®︎」の水引飾りや美術工芸品の製作にも力を注いでいます。

伊予水引

製作期間1年!弘子さんが手がけた宝船。オブジェとして、このような豪華な水引飾りのオーダーもあるそう

無限に広がる水引ワールド
未来を担う子どもたちへ届け!

四国中央市の小学校では、卒業式の日に胸元に添える水引飾りを児童が自分たちでつくっているそう。伝統工芸士が水引の結い方をレクチャーした上で、子どもたちは水引づくりにチャレンジします。
「みんな自分でつくった水引をお母さんやお父さんに自慢するんだと言って喜んでくれています」と弘子さん。
四国中央市の子どもたちは、この機会に伊予水引に慣れ親しみ、そこから未来の伝統工芸士候補が生まれているのです。

贈るカタチは変わっても、いつの時代も変わらない「贈る気持ち」。
紙のまちから、紡がれる水引ストーリーをお届けしました!

こぼれ話

世界選手権も開催!水引結び検定

(写真:HiroakiZenke)

めざせ、有段者!子どもも大人も楽しく水引結びにチャレンジ

2018年に開催された「えひめさんさん物語」を機に始まった「水引き結び検定」。よこ結びやあわじ結びなど、水引結びの技を10級から1級、さらに初段、2段までに分けて、一つずつチャレンジしていくものです。易しい技からスタートするので、子どもでも気軽にチャレンジできると全国から参加者が集まっています。残念ながら2020年の大会は延期となりましたが、次の開催は2021年8月の紙まつりの日を予定しています。
検定の前には、伝統工芸士による直接指導が受けられるので、初心者でも安心。7級以上になれば、世界選手権にも出場できるんです! 皆さんもぜひトライしてみてください。

(2021年3月)

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