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道後温泉

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道後温泉

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道後温泉

これぞ源泉100%掛け流し
お湯の番人の正体に迫る!

#観光 #ファミリー #温泉
道後温泉

1894(明治27)年竣工の道後温泉本館(写真は2019年に開始した保存修理工事前の様子)

日本最古の道後温泉は
建物もお湯もピカイチ

日本書紀にも登場し、日本最古の温泉といわれる道後温泉。
596年には聖徳太子が来浴したと伝えられており、その後も斉明天皇、舒明天皇、中大兄皇子などの来訪記録も残っています。明治時代には小説「坊っちゃん」で有名な夏目漱石も足繁く通ったそう。主人公の坊っちゃんも道後の湯をとても気に入っていましたね。
道後温泉のシンボルともいえる道後温泉本館は1894年に改築された木造3階建、1994年に現役の公衆浴場として初めて国の重要文化財に指定され、今もなお営業を続ける公衆浴場なのです。

道後温泉

(写真提供:道後温泉事務所)

建物が貴重で素晴らしいことは確かですが、実は道後温泉の「お湯」もすごいんです。
今回はこのお湯の秘密にグッと迫ります!

まず道後温泉の湯質は、アルカリ性単純泉。「美人の湯」といわれ、癖がなく肌への刺激が少ないことが特徴です。
そしてこのお湯は、全国的に珍しい無加水・無加温の源泉掛け流し。汲み上げた源泉に水を加えることもなければ、沸かすこともありません。湧き出したままの源泉の効能がたっぷり楽しめる温泉なのです。

道後温泉

送湯や源泉の管理は、道後周辺に4ヶ所ある「分湯場(ぶんとうじょう)」で行われています。

道後温泉のお湯の番人?!
その正体とは…

源泉をそのまま使っているのに、道後温泉はいつも安定したお湯の量と温度を保っています。なぜ、このようなことが可能なのでしょう?
それは道後温泉に、お湯の管理を一手に引き受けている人たちがいるからです。
その名も『汽缶士』さん!24時間体制で働く、道後のお湯の番人ともいえる人たちです。
5名いる汽缶士の一人、阪本修司さんにお話を伺いました。「主な仕事は道後温泉本館を中心とした施設へのお湯出しと各旅館への送湯、温度の異なる18本の源泉の管理です」。
源泉が18本もあるとは!驚きです。
「18本の源泉は、20〜55度のそれぞれ温度が異なるお湯です。それらを複数組み合わせて適温に調節するのです」と阪本さん。なるほど、だから「無加温・無加水」なのですね。

道後温泉

阪本さんによると、道後温泉の湯の温度は基本的に42度と決まっているそう。「42度を目指して分湯場から湯を送るのですが、地面を移動している間にも温度は下がってしまいます。ですから浴槽での温度が42度になるように考えて、出し始めの温度を決めています。気温やお客さんの人数によっても変わるので、日ごと、時間ごとに調整します。日に何度も微調整をすることもありますよ」。
ちなみにお話を伺った寒さが厳しい12月のこの日の出し始めは45.4度。夏は43度くらいだそうです。0.1度の差が浴槽で大きな差になるので、コンマ単位でこだわります。
複数のお湯をブレンドして、0.1度単位で調整できるなんて、まさに職人技!

道後温泉

日中、開放されている道後温泉第4分湯場の見学室では、複数の源泉が貯湯槽に落ちる様子が見られます。

心も体もぽっかぽか
愛媛の宝!道後温泉

汽缶士さんのお湯の番人としての仕事は他にもあります。同じ源泉ばかり使うと温泉が枯れる恐れがあるので、18本を交互に使いながら調整しているのだそうです。「お湯は大切な資源として守るべきもの」と阪本さんは語ります。お客さんが気持ちよく入浴できるように、そしてこれから未来にかけても道後温泉が末長く続くように、汽缶士さんたちは毎日奮闘してくれているのです。
汽缶士さんあってこその道後温泉ですね。
愛媛の財産ともいえる道後温泉に入浴の際は、汽缶士さんの温かい心も感じつつ、言葉通り全身でお湯を楽しんでくださいね。

こぼれ話

常連客と汽缶士のホットな関係

道後温泉で行われていた「汽缶士当てゲーム」とはいったい?

道後温泉では約42度と温泉の基準温度が決まっているものの、一昔前は、常連の入浴客同士でお湯に浸かりながら「この温度は誰々」と、その日勤務している汽缶士さんを予想する遊びが行われていたそうです。
「何が違うのか、人によって癖があるのかわからないのですが、そのくらい愛着を持って些細な違いを感じながら温泉に入っていただけるのはありがたいですね」とにっこり笑顔の汽缶士さん。実際には5名いる汽缶士のうち誰が温度を調整しても湯温は安定しているのですが、汽缶士という存在は、それほどまでに地元の常連さんに広く認知され、親しまれているのですね。

(2021年1月)

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