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サイクリストの聖地

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サイクリストの聖地

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サイクリストの聖地

地域のおもてなしが生んだ
世界に誇るサイクルルート

#観光 #スポーツ #ファミリー
サイクリストの聖地

世界各国からサイクリストが訪れているしまなみ海道(写真提供:シクロツーリズムしまなみ)

サイクルツーリズムで
地域創生に挑むしまなみ海道

愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶルートとして、1999年に全線開通したしまなみ海道。2019年には「日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングルート」としてナショナルサイクルルートにも認定されました。
島の人々の生活道路として、原付・自転車・歩行者道が並走した橋として架設された、有人島を結ぶしまなみ海道。そんな地域の生活道路が、なぜ世界的なサイクリストの聖地となりえたのでしょうか?
地域住民とともに、しまなみ海道の活性化に取り組むシクロツーリズムしまなみの代表理事・山本優子さんにうかがいました。

サイクリストの聖地

大三島の道の駅「多々羅しまなみ公園」にあるサイクリストの聖地碑

しまなみ海道を生かした地域創生を思案した山本さんたちは、自転車で渡ることができ、日本初の海峡をまたぐ自転車道であるしまなみ海道でのサイクルツーリズムに着目。日本ではまだまだ、自転車で旅をすることが一般的でない中、島の人々と自転車旅の志向やニーズを勉強し、試行錯誤しながら2005年よりサイクリストの受け入れ態勢を整えていきました。
「ゆっくり旅をして、ゆったりめぐるというのが、自転車旅ならではの醍醐味。国道から一歩入り、路地や農道を走る場面も多いので、インターネットや旅行情報誌には載っていない情報が求められますし、空気入れやトイレなども必要。そこで、サイクリスト向けの地図を作り、島内にサイクルオアシスを設置しました」と山本さん。

サイクリストの聖地

地域の人との交流に癒やされる「しまなみサイクルオアシス」(写真提供:シクロツーリズムしまなみ)

非効率な旅だからこそ
そこに交流が生まれる

「設置する」と言っても、新しくつくるのではありません。地域住民が、自宅やお店の軒先をサイクルオアシスとして提供するのです。ということは地域の人々の協力が不可欠ですが、そこは古くから遍路のお接待文化が根付いている愛媛。サイクリストがいる暮らしを自然と受け入れていき、むしろ地域の人々が積極的に交流を楽しんでいる面も。とある民宿のお母さんは「サイクリストの方とおしゃべりして、自分も旅しているような気分になれる」と喜んでくれているそう。
島へ降り立ち、気持ちの赴くままにペダルを漕ぎ、そこで暮らす人々に出会う。しまなみ海道にリピーターが多い理由は、「人」にあると山本さんは言います。

サイクリストの聖地

国際サイクリング大会「サイクリングしまなみ」では地域の人々の温かい声援が飛び交う。

最短距離を走破するより
寄り道から生まれるドラマ

「パンクして困っていたところ、島のおじいちゃんが声をかけてくれた」「みかんの季節には走っているとプレゼントしてくれる」などの声が、実際にしまなみ海道を旅したサイクリストから寄せられています。
しまなみ海道は全長約70kmですが、これは最短距離。「車では入れない道、一本逸れた道にこそ、地域の文化や暮らしがあり、それをサイクリストは求めているのだと改めて感じました」と話します。
地域の人々の日常を、サイクリストたちは非日常に感じ、楽しみ、溶け込んでいく。それが、しまなみ海道サイクリングならではの新たな旅のスタイルなのでしょう。

サイクリストの聖地

サイクリングコースの案内として、車道の脇に敷かれたブルーライン(写真提供:シクロツーリズムしまなみ)

物心両面のおもてなしで
居心地も走り心地も良く

しまなみ海道に入るとサイクリングコースを示すブルーラインが敷かれていたり、安心して休憩ができるサイクルオアシスやゲストハウスが点在していたり…。しまなみ海道がサイクリストの聖地と呼ばれるようになった背景には、こうした地域の人々による物心両面のおもてなしがありました。
生活に身近な自転車が世界的価値を生み、文化として定着していく。サイクルツーリズムが地方創生へと繋がることを示したしまなみ海道。そこには、思わず「ただいま」と言いたくなる、日本の原風景が待っています。

こぼれ話

もっと手軽に、自転車旅のススメ

2020年夏、レンタサイクルがさらにパワーアップ!

しまなみ海道サイクリングの今治側の始点、来島海峡のたもとにある「サンライズ糸山」の中央レンタサイクルターミナルがリニューアル。さまざまな種類の自転車が100台以上揃います。クロスバイクやシティサイクル、電動アシスト付き自転車、子ども用マウンテンバイク、タンデム自転車や親子で楽しめるファミリー電動アシスト付き自転車も。さらに、坂道もスイスイ走れる電動アシスト付きのスポーツ自転車「E-BIKE」も導入されました。サイクリングは経験がなくて不安という初心者でも安全に安心して楽しめるように、万全のサポートを行っています。ぜひ気軽にチャレンジを!

(2020年12月)

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