
今も昔も、愛媛県民は
スポーツがお好き!
かの俳人・正岡子規は東京大学予備校時代にベースボールを知り、熱中。
松山中学の生徒らにベースボールを教えたり、野球を題材とした俳句や短歌を数多く詠んだりと、野球の普及に多大な貢献をしました。
そして現代、令和の愛媛には4つのプロスポーツチームがあります。
野球は四国アイランドリーグの「愛媛マンダリンパイレーツ」、また、バスケットボールはBリーグの「愛媛オレンジバイキングス」。
そしてサッカーは、1970年創設の松山サッカークラブが前身で、J2で活躍する「愛媛FC」と、元サッカー日本代表監督の岡田武史氏がオーナーであるJ3の「FC今治」があり、それぞれの熱いファンとともに盛り上がりを見せています。
なぜ、愛媛県民はこんなにもスポーツを愛するのか!?
その秘密を探るべく、今回は「地方創生」の観点から、活気ある街づくりに取り組むサッカークラブとして話題のFC今治からリポートします!

試合終了後、スタンドのサポーターに挨拶をする選手。勝っても負けてもファンの温かい拍手は変わらない
地元の子どもたちに夢を
それが地域創生の第一歩
1976年、地域クラブとして設立されたチームが、J1をめざす「FC今治」としてリスタートを切ったのは2015年のことでした。
W杯を2度率いた元日本代表監督の岡田武史氏がオーナーに就任。
サッカーを通じて地域全体を盛り上げていく、「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」という企業理念のもと、次世代へとつなぐための構想を次々と立ち上げていったのです。
挑戦から10年を迎える2025年に目指す姿として、チームが掲げたのはJ1での優勝争い。
そのために岡田氏が掲げたのは、「今治モデル」。地域のサッカー仲間たちと連携し、FC今治だけでなく、今治全体のレベルアップにより、地域の子どもたちから未来の日本代表を輩出することでした。

スタジアムの手前にあるフットボールパークにて、試合までの時間をワクワクしながら過ごすサポーター
地域を愛し、
地域に愛されるFC今治
あくまでも、大切なのは地域から愛されること。地域を愛すること。
そんなFC今治の想いに共鳴した地元の人々が熱血サポーター集団となり、その輪を広げています。
ホームスタジアム「ありがとうサービス. 夢スタジアム®」で試合を観戦した取材班が驚いたのは、そのアットホームすぎる?雰囲気。
サッカー専用スタジアムだからピッチとスタンドの距離が近いという臨場感はもちろんですが、サポーターのみなさんが選手をとても身近に感じている、そんな空気を感じました。

家族や友人と一緒にFC今治の応援へ出かけるのが一番の楽しみと語るサポーターのみなさん
大海原への航海は
三位一体の挑戦!
そうそう、FC今治では、村上海賊ゆかりの地ならではの「なるほど」がありました。
サポーターのことを「Sailor(セーラー)」、ボランティアスタッフは「Voyage(ボヤージュ)」、そして選手たちは「Soldier(ソルジャー)」と、海にちなんだ名で呼ぶのだそう。熱心なセーラーのお兄さんが教えてくれました。
お兄さんに会ったのはスタジアム手前のフットボールパーク。試合結果がどうであろうと「来てよかった」と思ってもらえるように、ご当地グルメや地元の人気店のグルメブース、ワークショップ、ダンスパフォーマンスなど楽しい企画がてんこ盛り。
お兄さんはいつも試合の2時間前にはやってきて仲間たちと過ごすのがお決まりで、多くのセーラーがそうなのだとか。

ピンクのビブスを身につけたボランティアスタッフ「Voyage(ボヤージュ)」。FC今治愛はサポーターと同じ!
日常にFC今治がある。
それが根付くということ
「FC今治を通して地域創生を」という岡田氏の想いに共感する人、選手は息子や孫のような存在だと愛してやまない人。そして目を引くのがシニアサポーターで、その多さには驚きます。
杖をついたおじいちゃんがゴール裏に腰掛けて「あの子は最近よく出とるなぁ」と嬉しそうに話している姿、ほほえましすぎます!
そして、FC今治を語る上で、ホーム戦の運営をサポートするボランティア組織「Voyage(ボヤージュ)」の存在は欠かせません。無償の愛を注ぐ彼らの活躍が、クラブを支えています。
以上、選手とサポーター、そしてボランティアスタッフの相思相愛な関係を、現場からお届けしました!
まさに地域と一体の古民家事務所

フットボールから拓ける、地域創生への道のり
今治市郊外、田畑や日本家屋などがぽつぽつとたたずむのどかな場所に、FC今治の事務所はあります。
立派な古民家を活用した、なんともユニークな事務所。
実はこちら、岡田氏の想いに共鳴した所有者が「ぜひ使ってください」と名乗り出て実現したのだそう!
FC今治では、フットボールクラブの運営だけでなく、教育をテーマとした次世代育成事業、地域に根ざしたブルーゾーン(*)事業などを展開。
学生や企業の研修として提案している「しまなみ野外学校」や環境教育に取り組む「しまなみアースランド」、ブルーゾーン構想に基づいたフットボールパークやパブリックビューイングなど、地域を巻き込んださまざまな企画がここから生まれています。
(*ブルーゾーン:健康で長寿な人々が多く居住する地域を指していう)
