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佐田岬半島

えひめのまじめ図鑑

佐田岬半島

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File 18

佐田岬半島

カーオーディオ止めてみて
道路が歌う、日本一の半島

#教育・文化 #観光
佐田岬半島

瀬戸内海(左)と宇和海(右)を隔て、東西へ約40km伸びる佐田岬半島。

九州に手が届きそう
日本一細長い半島、佐田岬半島

四国最西端に位置する佐田岬(さだみさき)半島。九州に向かって腕をスーッと伸ばし、指先を届かせようとしているかのような形です。長さは約40km、幅は最大でも約6.4km、最小だとわずか0.8kmほどという日本一細長い半島で、中央を緑の山脈が走り、両側に青い海、頭上に広い空、山の尾根には白い風車が立ち並び、一種独特の不思議な美しさを持っています。爽快に駆け抜けられるドライブコースとしても人気があり、周辺スポットに立ち寄りながら歴史や文化をじっくり味わうのもまた楽しい、魅力いっぱいの地です。

佐田岬半島

溝とタイヤで音楽を演奏
往復3回歌える道

この半島をドライブするなら絶対に知っておいてほしいポイントは、「道」そのものです。
1987(昭和62)年に開通した国道197号は「佐田岬メロディーライン」という愛称で親しまれています。風や潮騒、鳥の声など自然の音色に包まれるイメージが由来だとか。
後の2011(平成23)年、その愛称にちなんで、四国で初めてここにメロディー道路が作られました。メロディー道路とは、路面に何本も溝を刻み、その上を車で走ることで振動音がメロディーを奏でて聞こえるようにしたものです。2018(平成30)年にさらに二箇所が追加され、この半島で合計3曲も、道路が奏でる音楽を聴くことができるようになりました。

佐田岬半島

幅や深さ、間隔の異なる溝が何本も刻まれた路面

ただの音ではなく曲にするにはある程度の距離を直進する道路でなければなりません。この細長〜い佐田岬半島なら条件にぴったりです。

2011年にできた1曲目は「みかんの花咲く丘」。半島の先端から付け根に向かう上り車線の半ばあたり、道の駅「瀬戸農業公園」を過ぎた430mの区間で、1曲フルコーラスを奏でます。
2018年に増えた2曲は、先ほどとは逆方向の岬へ向かう下り車線にあります。八幡浜市保内町の大峠トンネルの先119m区間に「瀬戸の花嫁」、伊方町三机の瀬戸トンネルの先218m区間に「うみ」。
3曲とも愛媛県や佐田岬半島をイメージした選曲です。驚くほどハッキリと奏でられるメロディーに、思わず声を合わせて歌いたくなります。

愛媛といえばこの曲!フルコーラスでどうぞ。

続いてもう一曲、お聞きください!

音楽の完成度を高めるカギは
安全をしっかり守ること

せっかくですから、より美しい音色で聴きたいですよね。秘訣はずばり、「安全運転」です。速度規制の標示通り、時速50kmで安定走行をすれば、完璧な音階で滑らかなメロディーを聴くことができます。

そう。このメロディー道路の素晴らしさは、音楽を楽しむだけでなく、さまざまなプラスの効果が期待できることにもあるのです。
曲のテンポが速くなりすぎないように走行スピードを抑える効果。さらに、タイヤが溝にくい込むことでスリップを防止。音が刺激になって居眠りも防止。そしてもちろん、たくさんの人にこの地を知ってもらうPR効果も期待できます。
楽しい仕掛けで安全も守られるなんて、ステキですね。

2018年の2曲の追加は、地域の皆さんからの要望で実現したそうです。「佐田岬メロディーライン」への愛着とともに、この地を訪れるドライバーが安全であるように、そして楽しんでもらえるように、そんなあたたかな思いやりが感じられます。
ぜひメロディーに耳を傾けて、安全で快適なドライブを楽しみましょう。

こぼれ話

ここまで長いと、誰でもショートカットしたくなる!?

江戸時代に挑んだ、瀬戸内海と宇和海を結ぶ「運河」の建設

約40kmの長さが特徴の「佐田岬半島」。ただ、瀬戸内海側と宇和海側の交流のためには危険な岬を大きく迂回する必要があり、現地の人にとっては大きな障壁となっていました。
そこで、1610年、時の宇和島藩主・富田信高は、半島で最も幅が狭くなる部分に運河を作ろうと試みました。その距離、約800m。しかし当時の技術では工事はなかなか進まず、結局2年後に掘削を断念。住民の願いは叶えられませんでした。
現在この場所には、美しいアーチを描く真っ赤な鉄橋「堀切大橋」がかかり、その橋の上をメロディーラインが走っていますが、その足元には、必死に海を繋ごうとした痕跡が今でもはっきりと確認できます。

(2021年2月)

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